足が地面から少しずつ離れ始めた時、茶色の長い髪が見えた。


制服姿の諸星さんだった。


彼女は柵から身を乗り出し、僕の腕を掴んだ。


「違うの!こーゆーことじゃない。川本君には幸せになってもらいたい。」

何を言っているんだろう……

「川本君に死んでもらいたくてあの動画を作ったわけじゃない。想いが通じた。それで十分。」

彼女は泣きながら笑った。


「ありがとう……!」


辺りは眩しくなり僕は目を閉じた。