その時、後ろから少し強い風が吹いた。

感情表現ではなく、自然風である。


桐谷さんは数歩先で立ち止まる。

「見てたら分かるよ。あんたの態度がそう言ってんだもん。」

そしてくるりと振り向いた。

「高校の時から薄々気づいてた。そうなんじゃないかってね。大学生になった今、やっぱり分かったよ。香菜の事好きなんでしょ?」

また風が吹いた。

なんでこうもタイミングが良いんだ。