「でも思い出のある木の下ってのがイマイチピンと来ないんだよね。」


僕はある場所が頭に浮かんだ。

そう、夢に出てきたあの時――。


「キンモクセイ……。」


「え?」

「キンモクセイかもしれない。前に諸星さん言ってたんだ。キンモクセイが好きだって。それにあの時も……。」

この前夢で見たあの過去の記憶。

チョコと一緒に漂っていたあの香り。