「…百合ちゃんは、酷い事言って春人を振ったけど、あれは全部嘘なんだ」
「…嘘?」
「うん…春人と別れた後に付き合った健。アイツ、百合ちゃんを脅してたんだよね」
「な、なんで、そんな事」
「んー、元々暴力とか暴言が酷くてね、春人や俺や翔太と仲悪かったんだ。…春人と付き合う前に百合ちゃんは健と付き合ってたんだけど、百合ちゃんが春人の事を好きになって、百合ちゃんと健は別れたんだけど、春人と付き合って1年ぐらいかな?…百合ちゃんをまだ好きだった健は、百合ちゃんを脅して春人と別れさせたんだよね」
脅しなんて、卑怯な…
そんなマンガみたいな事ほんとにあるんだ…
「そ、そんなの、卑怯ですっ」
「うん、そうだよね…その事は春人と百合ちゃんが別れて少し経ってから聞いたんだけど、春人には絶対言わないでほしいって、お願いされちゃってさ。…だから、春人は多分本当の事は知らない」
そうだったんだ…
でも、あれが嘘だって分かったら、今でも残ってる心の傷を少しでも癒せるかもしれない。
でも、それが嘘だと知って、百合さんの元に行ってしまうかもしれない。
頭の中でこんがらがる感情は、私を黒く塗りつぶす。