* * *
午前7時30分。
アラームが鳴る前に起きて、手ぐしで髪を整える。
「…ふぅ」
全然眠れなかった…
ーー♪〜♪♪〜♪〜♪♪
ぼーっとしていると、藤原先輩からLINEが届いた。
《迎えにいく。準備して待ってて》
迎えにいく…って、え?!
逆方向なのに?!
ドキドキと一気に上昇する心拍数。
うそ、うそ、待って!
あたふたしながら、そそくさと準備を進める。
20分後、ピンポーンとチャイムが聞こえた後に、お母さんが玄関を出るのが分かる。
「奈緒!春人くん来てるわよ!」
もう!言ってくれてたらおめかししたのに!
そう言って階段を降りていくお母さんを眺めてぼーっとする。
あ、だめだめ、早く降りなきゃ!
ドタバタと玄関を降りて、履きなれたローファーを履く。
緊張しながら扉を開けると、藤原先輩はこっちを見て笑顔を見せる。