私と藤原先輩が付き合ってから2ヶ月が過ぎて、放課後デートの約束をしていた私は、藤原先輩より一足先に、校門で藤原先輩を待っていた。
「フフッ」
私今、最高にニヤニヤしています。
ふと、隣に目をやると、綺麗な黒髪の女の人が、校舎を見つめて立っていた。
9月の暑い日なのに、全然汗をかいていなくて、綺麗な肌。
綺麗な人だなぁ〜どこの学校だろう…
ジーッと見つめていると、不意に目が合う。
あれ?…どっかで見た事ある気がする…
「…あのっ」
「は、はい?」
小さくて、か細い綺麗な声。
「あの、藤原春人って知ってますか?」
藤原春人?…藤原先輩の事だよね?
ってか、知ってるもなにも私の彼氏です!なんて言えるわけもなく。
「知ってます、けど、なにか?」
恐る恐る聞くと、恥ずかしそうに俯くその人は、白い肌に赤く染まった頬がよく似合っていた。
「奈緒!ごめん、遅くなった!」
「あ、藤原先輩…」
私が指さした方を見て、立ち尽くす藤原先輩。
後ろ姿で顔は見えないけれど、なんとなく読み取れる。
「久しぶり、春」
そう言って笑う顔は、やっぱりどこかで見た事がある。
春。
急に親しげに聞こえたからか、嫌に高鳴る胸。
だれ?なんてこんな状況で聞けるわけでもなく、ただただ、どちらかが喋り始めるのを待った。