* * *
「ふーん、そんなことがあったんだ」
黒の長い髪をいじりながら、何かを考える真奈は、あっ!と声を出して私に問いかける。
「甘い香りでシルバーのピアスだよね?」
「え?うん、そうだけど」
「それって、3年生の藤原春人先輩かも!」
そう言って、目をキラキラさせて私の肩をグラグラと揺さぶる。
「ふじわら はると?だれそれ」
全くこの子は、とため息をついて、藤原春人先輩とやらの事を説明してくれた。
どうやらその藤原春人先輩は、女の子にかなりモテていて、しょっちゅう告白されているらしい。
でも、どんなに可愛い子の告白もバッサリと断って、全く相手にしない。という事で有名らしい。
「ふーん、まぁ、確かにバッサバサだったよ」
フッと鼻で笑って、藤原春人先輩の心無いセリフをリピートする。