「ずっと、言いたかった。でも、お前と優馬が付き合ったって聞いて、諦めないとって」
「…先輩」
「てか、先に言われるとかマジでかっこ悪い…」
耳元でため息をつかれて、ビクつく体。
「…なに?耳弱いの?」
そう言って、また耳元で呟くもんだから、鳥肌が立つ。
「ちょ、ちょっと!からかうのやめてください!!」
そう言って笑い合うふたり。
いい感じ…って思ってたのに、低い声で私に詰め寄る藤原先輩。
「…てか、何優馬に乗り換えてんだよ」
「ひぃっ、や、その、あの」
「勝手に振られたって勘違いして無駄に付き合いやがって」
「ご、ごごご、ごめんなさい」
「…まぁ、俺がぐずぐずしてないで気持ち伝えれば良かった話だけど」
そう言って、頭を撫でてくれる藤原先輩の手は、大きくて優しくて、あったかかった。
好き。
そう心で呟いて、藤原先輩と手を繋ぐ。