それから2日後。
もうすぐ7月になろうとしている。
「…奈緒。もういいの?」
もういいの?とは、藤原先輩の事だろう。
「…いいの」
「…奈緒がいいならいいけどさ…あんた廃人みたいだよ?」
そう言って、フルーツオレのパックジュースを渡してくれる。
「ありがとう」
そう言って、またボーッと地面を見つめる。
結局あれから、藍ちゃんを避けるように生活していた。
何度も話しかけてくれたけど、何かしら用事があるからとその場を立ち去っていた。
藤原先輩は、棟も違うからそもそも会わないし、私にはそれが救いだった。
会ったら絶対に泣いてしまうから。
好きって言ってしまうから。
ーー♪〜♪♪〜♪〜
ワイシャツのポッケから流れる軽快なメロディー
…優馬先輩だ。
出なくちゃ、心配かけちゃう。
「もしもし」
「もしもし?奈緒ちゃん、今日空いてる?」
「今日、ですか?」
「そ。デートしたいな〜なんて」
デート…
正直そんな気分にはならないけど、気分転換にどう?と進めてくれる優馬先輩の言葉に甘える事にした。
「何だったの?電話」
「デートしようって」
「デートねぇ、まぁ、気分転換にいいんじゃん?ここんとこずっとそんな調子だし、お言葉に甘えてストレス発散してきな!」
そう言って肩に手を乗せてくれる真奈。
「…うん、そうするね」
そう言って、パックジュースにストローを通して乾いた喉を潤す。