終わった。
フェンス越しに空を眺める。
好きだったな…藤原先輩…
一気に溢れ出す涙を、ゴシゴシとカーディガンで拭う。
するといきなり、後ろから何者かに抱きつかれる。
「…奈緒ちゃん」
「…ゆ、優馬先輩?」
「当たり」
そう言って、体を離した優馬先輩は、私の前に立ち、ジッと私を見つめる。
「奈緒ちゃんが泣くと、俺も悲しくなる」
そう言って、涙を指先で拭ってくれる。
「…俺じゃダメかな」
…え?
「い、いまっ、なんて」
「俺じゃ、奈緒ちゃんを幸せにできない?」
そう言って、今にも泣き出しそうな顔をする優馬先輩。
どうして、私なの?
心ではそう言ってても、口には出せなくて。
優馬先輩の気持ちに応えられないって言わなくちゃ。
分かってるのに、口は開いてくれない。
足が震えて、涙が止まらない。