「…どうして、悲しい顔して元カノさんとの写真を眺めてたんですか?」



聞いちゃいけない。これ以上干渉しちゃいけない。

分かっているのに、口は止まらなくて。



「……俺が、中3の頃」

「……」

「初めて付き合ったのが、あの写真に写ってた女」

「俺、本気であいつの事好きでさ。あいつが喜ぶならって、何でもした。…でも、あいつに別れたいって言われて、理由聞いたら…遊びだったって」

「…っ、」

「顔が良かったから、付き合った、ただそれだけ。って、それだけ言って、違う男んとこ行ったんだ」


「……」



だから、あんなに悲しい顔してたんだ…


「だから、高校に入ってから告白されても、全部断ってた。本当の俺を好きになったんじゃなくて、顔だろって」




不意に、下駄箱での事がよみがえる。


「俺が、告白してきたやつをキツく突き放すのは、その優しさが相手を傷付ける事もあるから」



優しさで、相手を傷付ける?


「…でも、女の子、泣いてた…」

「優しくしても、期待するだけだろ。期待されても、気持ちには応えられない。そしたらまた傷付くだろ」



そう言って、ソファに座る藤原先輩。


だから、あんなにキツく…

藤原先輩、ほんとは色々考えてあんな事…