ーーガラガラガラ
「失礼しまーす」
部屋を見渡すけど、先生の姿は見当たらない。
あれ?いないの?
薬欲しかったのに…
入口から部屋に突き進むと、部屋の端に座る見覚えのある後ろ姿。
えっ、えっ、まって!
藤原先輩?!こ、心の準備が!
って、あれ?…寝てる?
ソファに腰掛けて、首をかくかくさせながら寝ている藤原先輩。
「…寝てる」
フフッと笑がこぼれる。
長いまつげに、血色の良い唇。
綺麗な肌に、窓から差し込む光でキラキラと光る髪の毛。
「きれい」
起こさないように、隣に座って、横目で藤原先輩を盗み見る。
スースーと、小さな寝息が聞こえる。
幸せ。
こうして隣に居るだけで、こんなにも幸せな気持ちになれる。
ねぇ、藤原先輩は私の事どう思ってるの?
好き?嫌い?
好きな人はいるの?
藍ちゃんの事はどう思ってるの?
聞いてしまいたい事はたくさんある。でも、怖くて聞けない。
これから、どうしよう。
いつの間にか痛くなくなったお腹に気付いて、眠気が襲ってくる。
あー、寝ちゃう。
このままだと絶対に寝ちゃう。
頭ではそう分かっていても、体が全然動かない。
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