それから何分経っただろうか。
落ち着いた私は、藤原先輩の背中を優しく叩くと、ゆっくりと離れる体。





「…ふじわら、せんぱい」

「…ん?」

「もう、大丈夫です。…すみませんでした」



そう言って俯く私の頬をつまんで「すみませんじゃなくて、ありがとうだろ」

そう言って、優しく笑ってくれた。



「あり、ありがとう、ございました」

「ん」



そう言って、ゆっくりと歩き出す藤原先輩の後ろ姿を見て、寂しさと嬉しさで、また涙が溢れそうになる。




好き。


藤原先輩が、好き。
誰にも取られたくない。藤原先輩の側に居たい。私の側にいてほしい。



私、藤原先輩の事が好きなんだ。


ドキドキと高鳴る胸を落ち着かせるように、深呼吸する。




藍ちゃん、ごめんね。
私は藍ちゃんの恋を応援出来そうにない。





「帰んないの?」


少し大きめな声で、私に問いかける藤原先輩。


「か、帰ります!」



そう答えて、私を待ってくれてる藤原先輩の元に走る。



真奈、ありがとう。

帰ったら電話しよう。



心の中で呟いて、先輩の隣を歩いた。