宣戦布告…生まれて初めてされた。
藍ちゃんは藤原先輩の事が好き。
藍ちゃんは藤原先輩の事が好き。
ぐるぐるぐるぐる。
頭の中はその言葉でいっぱいだった。
下駄箱でローファーに履き替えて、学校の門に向かって真奈と肩を並べて歩く。
「はぁ….」
「え、どしたの?」
ため息をつく私を見て、真奈は驚いた顔でこっちを見ていた。
「…んー、分かんない」
「なんじゃそりゃ」
分からない。
藍ちゃんに、藤原先輩の事が好きって言われただけなのに、嫌な気持ちになると言うか、モヤモヤする。
「…ねぇ、真奈」
「ん?」
「真奈は、翔太先輩の事好き?」
「えっ?!な、なに?急に」
今度は、目が飛び出そうなぐらい驚いた顔で私を見る。
「…好きだよ、翔太先輩のこと」
でもすぐに、真っ直ぐ私を見て好きだと言った真奈はとても綺麗だった。
"好き"
好きになっちゃいけない。
私は重荷になるから。
中3の頃、フられてからずっとそう言い聞かせて過ごしてきた。
告白される事も何回かあったけど、私を好きになってくれた人に、辛い思いをさせたくない。
ただ、そう思って断ってきた。