* * *
「気を付けて帰れよ〜!」
担任の山ちゃんの声を合図に、一斉に教室から出る生徒。
私も帰ろうと席を立った時、真奈よりも先に話しかけてきたのは藍ちゃんだった。
「ねぇ、奈緒ちゃん」
「藍ちゃん!どしたの?」
「うん、あのね…」
少し頬を赤く染めて、もじもじする藍ちゃんは、色気があって、可愛くて、女の私でも惚れちゃいそうなぐらい可愛い。
「藍ね…春ちゃんの事好きなんだぁ…」
え、春ちゃん?春ちゃんって藤原先輩の事だよね?
藍ちゃん、藤原先輩の事好きだったんだ。
それと同時ぐらいに、チクリ、チクリと痛む心臓。
嫌に高鳴るのが、自分でも分かる。
何か、喋らないと…
「そ、そうだったんだ!なら、もっと早く言ってくれれば良かったのに!」
そう言って、このこのぉ〜と、藍ちゃんの腕をつついた。
「うん、ごめんね!言うタイミングが見つからなくて」
「うん、大丈夫だよ!」
「ありがとう!優しいね、奈緒ちゃん」
「え?そうかな?」
「そうだよ!…じゃあ、藍帰るね!」
そう言って、バイバーイと手を振る藍ちゃんを見送ってヘナヘナと席に腰掛けた。