「えっ、ちょ、待って…あ、えと、今日は楽しかったです!ありがとうございました!」
早口でそう言って、後を追うように家を出た。
少し先で、私を待ってる藤原先輩。
遠くから見ても、イケメンだ。
「おせーよ。…もしかしてのろま?」
「のっ、のろま?!藤原先輩が早すぎるんです〜」
フッと笑う藤原先輩。
やっぱり、笑ってる方が素敵だよ。
カラオケではムスッとしてたし、家ではクールなのか、あまり笑わないし。
「…てか、ずっと気になってたんだけどさ、何で俺だけ藤原先輩?」
「え?ん〜なんでだろう…」
んー?と首を傾げて考えてみるけど、理由はよく分からない。
でもたぶん、きっと、最初のイメージからだと思う。
翔太先輩や優馬先輩は、最初のイメージが良くて、何となくその呼び方の方がしっくり来たから。
藤原先輩は、最初のイメージが怖かったから、きっと下の名前よりも名字の方がしっくり来てるんだと思う。