そんな事を勝手に考えながら、ふと時計に目をやると、時刻は22時を回っていた。



もうそろそろ、帰らなきゃ。
お母さん、心配してるだろうな…



「あの、私そろそろ帰りますね!藤原先輩、お邪魔しました」



ペコッとお辞儀した後、私を気遣ってか、優馬先輩は「送るよ」と言ってくれた。




「優馬お前、変なことすんなよ?」

「全く春ちゃんは、全然分かってなーい」

「は?」

「もちろん、"そういう関係"になってからに決まってるじゃん!ねぇ?奈緒ちゃん♡」

「いや、有り得ないですから」



バッサリ突き放すと「えぇ?!ヒドイ!!」と泣きマネをするもんだから、笑ってしまった。



「でも、ありがとうございます。私の家もここからそんなに遠くないですし、送りは大丈夫です」

「バカかよ」

「バカ?!」

「家が近いとしても22時だぞ?この辺治安悪いし何かあってからじゃ遅いから、送る」



そう言って、上着を羽織った藤原先輩は「行くぞ」と言って玄関を出た。