「…藤原先輩って笑ったりするんですね」

「おい、どういう意味だよ」

「気にしないで下さい」


とフフッと笑いかけると、藤原先輩と目が合う。


ほら、まただ。
吸い込まれるような、大きくて透き通った瞳。

私はこの目に見つめられると、目が離せなくなる。



誤魔化すように、目をそらすと、藤原先輩は私に近付いてきた。



「…え、な、なんっ」

「怖い?」

「へっ?」

「俺の事、怖い?」



怖い?…あぁ、きっと、目をそらしたからだ。
確かにあの時は怖かったけど…不思議と今はあまり怖くない。


「怖くないですよ」


そう言って、メロンソーダを入れる私。


「…じゃあなんで、目逸らすんだよ」

「……れいだから」

「…え?」

「綺麗だから、藤原先輩の目。…私の黒い部分とか、何もかも見透かされてるようで、引け目を感じるというか…」

「……」



藤原先輩が苦手なんじゃない。
目が合うと、私の黒い部分まで見透かされているようで、引け目を感じてただけ。