俺と奈緒が付き合って少し経った頃だった。
「っ、ごめんね、涼太くんを、好きになれたらいいのにっ」
そう言って泣きじゃくる奈緒は、何度も何度も謝ってきた。
時間がかかってもいい。
何年かかってもいい。
「待つから。だから、謝るな」
そう言って、ただギュッと抱きしめた。
奈緒が離れていきそうで、不安と焦りだけが俺を襲う。
奈緒の気持ちが俺に無いことも、理解してるつもりだった。
でも、どんどん欲張りになっていた。
そのせいで、奈緒とぶつかる事もあった。
その度に奈緒は、ごめん、と最後にかならず謝ってくるんだ。