「奈緒!」



私と藤原先輩のもとに駆け寄ってくる涼太くんは、私達を見て一瞬顔を歪めたけれど、すぐに笑顔になった。



「奈緒、良かったな!」


そう言って、笑ってくれる。


ごめんね、涼太くん。

本当にごめんなさい。



「涼太くんっ、本当にごめ…」

「謝るな!」

「…え?」

「謝るな。謝ったら怒る」

「え、な、なんでっ」


そう言うと、ニカッと笑う涼太くんは私にこう言ってくれた。




「奈緒、お前は自分の幸せを掴んだ。俺は、お前の幸せを願ってる。その相手が俺じゃなくても、お前には絶対に幸せになってほしい。だから、お前は謝るな」



悪い事なんて何一つしてないと、涼太くんは言ってくれた。

溢れる涙に、感謝でいっぱいな気持ち。



「…っ、涼太くんっ!…絶対、絶対に、幸せになってね?」


「んな事お前に言われなくてもなるっつーの」



そう言って、頑張れよ、と吐いて去っていく後ろ姿を見つめる。



ありがとう、涼太くん。

涼太くんは、強くて、優しくて、明るくて、温かくて、ぶっきらぼうだけどすごく気持ちが伝わってくる。

私を絶対に見放したりしない。

いつも私を助けてくれて、私が辛い時は絶対側にいてくれた。



涼太くんを好きになれたらいいのにと、泣いて困らせた事もあった。



涼太くん、私は今凄く幸せです。