藤原先輩は、真っ直ぐ私を見つめて、口を開いた。



「奈緒、俺お前に嘘ついたんだ」



…嘘?


「奈緒、俺は、別れてからもずっと、奈緒が好きだった」



え、まって、頭がついていかない…

だって、もう好きじゃないって…



「奈緒はあの男と一緒になった方が幸せになる。…って、そう思ってた」

「でも、本当は、俺が幸せにしたい。奈緒の隣で笑っていたい。奈緒の隣は俺がいい」




そう言って、私を抱きしめる藤原先輩は小刻みに震えていて。

私は藤原先輩を抱きしめ返した。