───卒業生入場



ついに、この日が来た。


背筋を伸ばして、手を揃えて、最後を噛み締めるように入場していく先輩達。



フワッと香る、私の大好きな甘い香り。


藤原先輩の懐かしい後ろ姿。

今ではもう、手の届かない所にいる。




だめだ、泣くな!


泣くのを堪えて、藤原先輩を目に焼き付ける。



藤原先輩は、もう私を好きじゃないと言った。

辛くて、悲しくて、言葉では表せないぐらい痛かった。



それでも藤原先輩を想う気持ちは変わらなかった。

何一つ、色褪せる事なく鮮明に覚えている。