あれから数日。

藤原先輩から連絡は来ないし、私からも連絡はしない。

藤原先輩はどうなのか分からないけれど、私は意地を張っていた。




「奈緒ちゃん♡」


私の席まで来て、机に頬杖をつく涼太くん。


「え、なに?キモい」

「あ、お前そんな事言っていいのか?」



そう言った後、チラッと見せるパックジュース。
しかも私の大好きなフルーツオレ。



「え、くれるの?」

「ん〜、どうしよっかな〜」


と考える人のポーズをとる涼太くんは、ニカッと笑ってみせた。


「キモいって言ったこと取り消したらやるよ」

「と、取り消します!可愛い!可愛すぎる!」


そう言うと手渡されたパックジュースにストローを差し込んで口に含む。


「お前、ほんとフルーツオレ好きだな」


そう言って笑ってくれる涼太くんの笑顔はもう見慣れた程で。



「佐々木じゃん。また来たの?」


涼太くんの隣に立った真奈は、涼太くんを見つめた。


「奈緒が寂しいって言うから来てやった」

「ちょっとちょっと、私そんな事言ってません」



涼太くんが毎日会いに来るようになってから、笑顔が増えた気がする。

まぁそれも、一人になると考えてしまうけど…



涼太くんが帰ったあと、真奈は真剣な眼差しで私を見つめる。


「奈緒、あんたほんとにこのままでいいの?」

「…良くはない」

「意地なんて張ってないで連絡しなさい」


分かってる。
でも、今更なんて連絡すればいいのか分からない。