泣くなよ、ごめんな。

そう言ってあげたいのは山々だけど、変に優しくすると期待させてしまうだけだから。

俺は敢えてキツく突き放す。



「…じゃあ、俺行くから」



そう言って、泣いてる女を置いて、教室に行こうと足を進めた時、隣の靴箱からチラリと見える人影。



今時盗み聞きする奴いんのかよ…タチ悪いな。




ちょっとビビらせてやろうかな

と興味本位で声をかけただけだった。



まさか俺が、そいつに目を奪われるなんて思ってもみなかった。