* * *



放課後、真奈とバイバイして空き教室に到着した私は、見覚えのある後ろ姿が目に入る。



「…あれって、保健室の時の…」



予想は見事に的中して、私を見つけて手を上げる保健室の人。



「ど、どうも」

「元気ないじゃん、また悩み事?」


今は誰とも喋りたくない気分なんだけどなー
なんて、そんな事言えるわけでもなく、静かに空いてる席に座った。




「あ、自己紹介してなかったな。佐々木涼太、よろしく」



そう言って差し出さた手を見つめて首を傾げる。


「…は?お前握手も分かんねーの?何人?」


「なっ?!分かるわ!」


そう言って握手をすると、二カッと笑ってくれる。


焼けた肌に、笑うと見える八重歯。
笑うと無くなる目に、筋の通った鼻。


猫っぽい。



「お前の名前は?」

「あ、塚田奈緒です」


「奈緒な!よろしく!」



そう言って席に戻った涼太くんは、友達の輪に戻っていった。