* * *


自分の席でぼーっとしていると、登校してきた真奈が私の肩を叩いた。



「おはよ〜」

「あ、おはよ!」

「…何かあった?」



ニッコリと笑ってみせても、真奈にはすぐバレるんだよね…



「うーん、実は昨日ね、百合さんが私に会いに来たの」

「は?何の用で?」

「まぁ、簡単に言うと、藤原先輩を返してほしいって」

「…は?何それ全然意味わかんない。まず藤原先輩はモノじゃないっつの」

「断ったんだけど、お願いって聞いてくれなくて」

「…藤原先輩は何て言ってんの?」

「…まだ、話してない」



そう、朝から一緒に登校したのに、百合さんの事を話せずに学校についてしまったのだ。


「…ったく、何やってんだか」


「…藤原先輩、百合さんに自分の事を好きでいてもいいって言ったんだって」

「何それ。藤原先輩殴ってやろうか?」

「え?!大丈夫!大丈夫だから!」

「…でも、藤原先輩も藤原先輩だよ。そんな事言われて期待しない奴なんて数少ないでしょ」


「…うん、やっぱそうだよね」



頭に浮かぶ藤原先輩の笑顔。


どう思ってるのかな、百合さんの事。

朝も普通だったし、連絡もいつもと変わらないし。



悩んでいる私に、藤原先輩とちゃんと話なよ?と言って席に戻った。



はぁ、どうなっちゃうんだろ…

先の見えない不安に耐えられなくなって、机に突っ伏した。