「春は、私に好きでいてもいいって言ってくれたのっ、それって、まだ私に可能性があるって事じゃないのっ?」



藤原先輩がそんな事を?

気持ちには応えられないから、突き放してるって言ってたのに?



嘘だ。藤原先輩はそんな事言わない。


だって、藤原先輩には私がいる。
百合さんの気持ちには応えられないでしょ?



「…そんなの、嘘です」

「本当だよ。春に聞いてみなよ」



黙りこくる私に百合さんは、泣いちゃってごめんね、と帰って行った。




一人取り残された私は、辺りが暗くなるまでただぼーっとしていた。




藤原先輩は、どうして好きでいてもいいなんて言ったの?

百合さんに揺らいだの?

私の事が好きじゃないの?

百合さんは特別なの?

百合さんの言う通り、百合さんにはまだ可能性があるの?




黒い感情でいっぱいいっぱいになって、涙が溢れる。