百合さんが私達の前に現れてから、2週間が経った頃。


藤原先輩と私は何事も無かったかのように、順調に過ごしていた。


百合さんの話は会話にでてくる事は無いし、私も聞こうと思わない。



放課後、バイトがある藤原先輩は先に帰り、真奈は翔太先輩とデートに出かけて、藍ちゃんは今日は風邪でお休み。


一人でとぼとぼ帰っていると、後ろから声をかけられて振り返る。





「…っ、ゆり、さん」

「こんにちは」


そう言ってにっこり笑う百合さんはとても綺麗で、心臓がぎゅっと握り潰されたように痛い。



「あ、あのっ、藤原先輩なら、バイトに」

「あ、ううん!今日は奈緒ちゃんに会いに来たの」



え、私?!

嫌な予感で高鳴る心臓が、ぎゅーっと締め付ける。



「…どこか、喋れるところに行かない?」


周りを見渡すと、チラホラと下校する生徒がこっちを見ている。



そうして私達は、近くの人気の少ない公園に向かった。