その後すぐに奈緒に電話をかけた俺は、今日一緒に帰れなくなった事を伝える。


声は元気だったけど、多分元気なフリをしてるだけ。


とにかく俺は、早く解決したかった。




* * *



放課後、校門の前で百合を待つ。


その5分後、走ってきた百合は息を整えたあと、ごめんねと謝ってくる。


「…昨日のカフェでいい?」



百合が頷くのを確認して、歩き出す。


沈黙。

久しぶり過ぎて何を話したらいいか分からないし、出来るだけ話したくない。



やっとついたカフェに入って、コーヒーと紅茶を注文する。



「…で?本当の事ってなに?」


「…長くなるけど、聞いてくれる?」

「…うん」


そう言うと百合は、まっすぐ俺を見つめて話し始める。



「私、春に酷いこと言って別れたけど、あれ全ふ嘘なの」



…は?全部嘘?

いきなり何言ってんだよコイツ。



「春と付き合って一年ぐらい経ったころかな…健に呼び出されたの。そしたら、春と別れて俺と付き合えって言われて…もちろん私は春が好きだったし、断ったんだけどね…別れないなら春がどーなっても知らないからって。」

「……」

「私、健ならどんな事でもするって思ってっ、春を守りたくてっ、春に何かあったら嫌だし、ヨリを戻せば何もしないならって、だから、あんな風に嫌われるような事言って、別れたの」


「ごめんっ、ごめんねっ」


そう言って泣き出す百合をただぼーっと見つめる俺。


…なんだよ、それ



予想外だった真実に、戸惑う。



「…なんで、俺に言わなかったんだよ」

「…うっ、だって、言ったらはるっ、健と喧嘩したでしょ?私は、春に怪我なんかしてほしくないっ、春を、守りたかったのっ」



3年越しに知った真実に、ただ呆然とする。