すると兼仁おじさんは、急に力が抜けたようにそう呟いて。
そこにさっきまでの勢いは、もうない。
そして、急に振り返ったかと思えば、そばに立っていた俺の肩を両手でガシッと掴んだ。
突然のことに、俺も思わず心臓が飛び跳ねる。
「…神楽。どこかほかに…思い当たる場所はないのか」
そう問いかけるおじさんの目は、少し潤んでいた。
久しぶりに目を見て話しかけられたような気がする。
「…っ、そうですね…。
私も、思い当たる場所は大体探したんですが…」
「なにか、なんでもいい。心当たりは…っ。
お前なら何かわかるんじゃないのかっ!」
すがりつくかのような声で、そう言われた瞬間、胸の奥がドクンと音をたてた。
兼仁おじさんが……俺を、頼ってる……。