「まぁ神楽、素敵な盛り付けね。バッチリよ!」
「ありがとうございます」
「神楽と料理するの楽しいわ~、私。
ホントに何でもできちゃうんだから、神楽は」
「いえ、そんなことありませんよ。
庭仕事は苦手なんで」
奥様は俺に対しては相変わらずだ。
いつもニコニコしてて、優しくて。
気を使ってくれているのか、りぃのことや、俺がクビになったことについては触れてこない。
兼仁おじさんとは相変わらず気まずいままだけれど、奥様といるのは気がラクだった。
――ジュワーッ。
ハンバーグがフライパンで焼ける音と共に、肉のいい匂いが漂ってくる。
それに誘われてか、その時キッチンに誰か入ってきた。
「おや、今日はハンバーグですか」