忙しいを口実に
切ろうとしてるんだなぁ。


運ばれてきたラーメンを
すすりながら
ぼんやりそう思った。


「インストアさ、うちの楽器屋も手伝いに行くんだよ。見に来たら?タダだし」


「…いつだっけ」


「来週の日曜日」


…日曜日って
一番忙しい日じゃん。


あの狭い雑貨屋が
人で埋めつくされる日だよ。


「仕事だなぁ」


「あーそっかぁ…やっぱ日曜は混むかんなぁ、どこもかしこも」




…でも、
インストアって事は
昼だよね。

もしかしたら休憩時間に
ちょこっと
覗けるかも知れない。



…でもAくんと
目が合ったらどうしよう。

どうしよう、
うわ~何でいるんだよって
思われたら。

会いたいけど会いたくない。

モヤモヤした感情が
ぼくの心を締め付けた。


「Aくんはぼくのこと嫌いになったのかな」


「それはねーよ」


その質問には、
猿くんはきっぱりと答えた。



「お前のこと可愛いって言ってたし、つーかお前がそんなこと言うなんて意外だな」


愛だの恋だの
興味ないと思ってた。



自分でも。




面倒くさいだけだと
思ってた。


やっぱりぼくも
ただの人間なんだ。