彼女に対しての
罪悪感なんかは
悪いけど全くない。

バレなきゃいいじゃん。



だって体が繋がってるだけ。


心が伴ってない関係だもん。


「遊ぼうって送ってもシカトされるよ」


「あー…」


そりゃ完璧切られたな、って
言いそうになった
猿くんの目が宙を泳ぐ。

別に我慢しなくたって
いいのに。


「でもA最近忙しいって言ってるし!」


「そーなの?」


「おぉ。アッシュデビューすんだよ」


「知ってるよ」


アッシュというのは
地元では有名な
ロックバンドで、
近々メジャーデビュー
することになった四人組。

有名だけど
ぼくは一度も
ライブを見たことがない。


会ったこともない。


「来週の日曜日、AのCD屋でインストアやるらしくて」


Aくんは
ぼくらが働いてるデパートの
隣の隣にある
CD屋で働いてる。

店に行けば
会えるんだろうけど、
会いに行っても
何を話せばいいか
解らないから行かない。


「その担当がAらしいよ」

「へ~」


忙しいのは解ったけど、
連絡が途絶えたのは
2週間も前だ。