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雑貨屋が3階にあって、2階には楽器屋がある。

ぼくは今日7時までだった。

デパートが閉まるのは8時。


「お疲れさまです」


「あっ由真!来たな~」


金髪の髪を立てて、
ピアスをいっぱい空けてる
このお兄さんは、
最近メンバーと
上手くやれてないぼくの
相談相手だ。

ニカッという笑顔を向けて
ぼくの頭を撫でる。


「俺さ、今日一時間早く上がらせてもらえることになって」

「あ、じゃあもう上がりなの?」

「そー。メシ食い行こうぜ」


エプロンを外しながら、
猿くんは
カウンターから出てきて、
同僚さんに
お疲れさまですと
挨拶をしていた。

ちなみに猿くんというのは
あだ名で、
本名は仲村という。


「ライブどうすんの」

「え。出ないよ」

「何で」

「何でって練習してないもん」


ぼくがボーカルとギターを
やっているバンドは今

解散の危機である。


元々
人付き合いが苦手な
ぼくには
無理だったんだろう。


バンドで一番難しいのは、
人間関係だから。