ぼくは今21才。

雑貨屋で働いている。


自分の力で
生きていくためには、
お金を稼がなきゃ
いけないから。


でも雑貨屋の仕事って、
慣れると結構退屈で。


値付けだって
最初は楽しかったけど、
単調過ぎて
だんだん飽きてくる。


もう
3年くらい働いてるけど、
手先が不器用なぼくは、
何回やってもラッピングは
上手く出来ないんだ。


店長は抱えていた段ボールを
レジの後ろに置く。


中には大量の
ケータイ灰皿が入っていた。


「そういやさっき、下の楽器屋の兄ちゃんが来てたで」


その言葉に反応して、
ぼくは振り返る。


「由真さんいますかーって」


「…何て言ったの?」


「休憩中ですーて。したら仕事終わったら店に来て下さいって伝えろ言われて」


店長は
エセ関西弁を喋りながら
ニヤニヤしていた。


「あの兄ちゃんもセフレかいな」


「………」


違う。


あの兄ちゃんはただ、
バンド関係で
お世話になってるだけで
寝てない。