アッシュの姿を一目見ようと
必死になって

ぼくはジャンプした。





「!」






…目が合った。












「おチビーもっと前来て見ればー?」












ボーカルの声にまじって
さっきのお兄さんが
マイクを通して
ぼくにそう言った。



さっき見た目だった。



ギターを弾いているのは
ポチのお兄さんだ。


お兄さんの呼びかけで、
ぼくの前にいた
若いカップルが
笑みを浮かべながら
振り返って、
ぼくを前に出してくれた。


目の前でお兄さんを見た。


お兄さんは
綺麗な顔をしていた。

もしかしたら
ハーフなのかも知れない。


さっきみたく
悪戯な笑みを口元に浮かべて

弦が切れるんじゃないかって
くらい強い力で
ギターを弾いていた。





…ぼくは
休憩時間があと5分を
切ろうとしているのに
気付くまで

お兄さんのその姿に
釘付けだった。


ふと時計を見て
慌ててぼくは
店に戻ろうとする。