「エデンの、国…」
そんな場所はない。直感がそう語っている。
「そう…今宵、貴方は」
不意に夢の中の声が、千河柚季の声に重なる。私はただ震えていた。
「貴方は、ALICEとして…この運命を背負って頂きます」
「何の、こと…?」
頭が酷く混乱する。きっと…ALICE、エデンの国、まるで幼い頃に読んだ絵本かの様な言葉が並ぶせい。
「…ごめん…なさい」
重たい音と共に腹部に痛みが走った。

…私は意識をなくした。


夢と同じ、暗闇。
ふわふわした感覚が消えない。
「目覚めましたか」
暗闇なはずなのに、目の前に彼が居た。まるで彼自身が光を帯びている様で…キラキラして綺麗な顔立ちが余計に眩しい。

…脱線した。
今はそれどころじゃない。
「千河くん…貴方は…何者?どうして私を?ALICEって何!?」
言葉は焦りを増していく。
「そう混乱すっ…しないで下さい…説明しますから」
同い年程度の人間に敬語で話すのに慣れないのか、千河くんは噛む回数が増えてきてる。
「…説、明…?」
「そうです。貴方の知りたいこと…でしょう?」
明らかに不機嫌なオーラが見えて、今にも"貴方"が"お前"になりそうだった。

…長い話が終わり。
私は混乱したままの頭を必死に整理した。
千河くんの話から読み解け、わかったのは4つ。