「シグレさんは優しいですね」


「俺は、優しくなんかないよ。それに、俺よりお前の方が優しいだろ」


「私は、優しくなんかないです。ただ、嫌われるのが、独りになるのが恐いだけ」



シグレさんは黙ってしまった。



「ちょうどいいですね。私の過去をシグレさんに話しましょう。少し、長い話になるんですがいいですか？」


「いいぞ、話せ」


「では、話しましょう。私の過去を…」



私の家族はお父さん、お母さん、私の三人家族でした。

私は人並みに幸せでした。あの日、あの出来事が起こるまでは…

その日は、私の誕生日でした。

お父さんとお母さんが久しぶりに遊びにつれていってくれるって言うから私は大喜びで出掛けました。

でも、家を出てあまり時間がたっていない時、誰かが私達の方に走ってくる音が聞こえました。