そして、私はこの家で暮らし始めました。

最初は部屋の片付けや、家の掃除等が忙しくてあまり考える時間がありませんでした。

けど、ふとしたときに思ってしまうんです。

私は独りなんだと…



「これが、私がシグレさんとで会うまでのお話です。」


「…」


「同情なんかしないでくださいね。私、可哀想とか思われるの一番嫌なんですから」


「別に、同情したわけじゃない」



そう言ってシグレさんは少し黙ってしまう。



「じゃあ、何ですか?」


「……俺と似てると思っただけだ」



シグレさんと私が………似てる?



「どういうことですか?」


「俺も同じだったんだよ。まあ、俺の場合は“両親が死んだ”んじゃなくて“両親に捨てられた”だけどな」



捨てられた?実の親に?
信じられない…



「捨てられた俺は魔王に拾われ育てられた。別に嫌なわけじゃなかった。寧ろ嬉しかったよ。そのときに俺は初めて“愛”を貰うことができたから」


「初めて愛をもらったとはどういうことですか?」


「そのまんまの意味だよ。俺は両親から愛を貰ったことがないんだ」



私は、何も言うことができませんでした。

私より辛い思いをして、それを悲しげに笑いながら話すシグレさんに何を言ったらいいのかわからなかったんです…