雨の日は湿気のせいで髪の毛がゴワゴワするから嫌なんだよね。
「最悪…」
トボトボと歩いていると道の片隅に座り込んでいる人がいた。
何してるんだろう…?
しばらくのその人の様子を伺って見ることにした。
何か拾い上げた…?
傘がポトッと落ちその人の顔が見えた。
矢川君…。
矢川君の腕の中には小さな子猫がいた。
腕の中の子猫を見て、ニコッと笑っていた。
可愛い…。
って!そんなことより矢川君が濡れちゃう!
私は急いで矢川君の元へ走った。
矢川君の隣に立ち矢川君の元へ傘を差し出した。
「や、矢川君…。
濡れちゃうよ。」
「あ…お前。なんでいるの?
てか…見た?」
少しめんどくさそうな顔をしながら矢川君は私の目を見た。
「ごめん!
あの…捨て猫…?」
「いや…。
謝んなくていい。
こいつ雨に濡れてたから…放って置けなくて」
子猫へ目を向けながら少し優しげに微笑む矢川君に胸がドキッと高鳴った。
きっと他の女の子は矢川君のこんな顔見たことないだろう。
最初に思った通り、矢川君は優しい人なんだね…。
「矢川君優しいね。」
「はっ!?
別にっ!??優しくねぇしっ」
少し頬を赤らめて目を逸らす矢川君に思わず笑ってしまった。