そしてそんな表情がふっと消え、急に黙り込んでしまう。

風が耳元でぶんぶんと鳴り、陽射しがチリチリ肌を焦がしていくのがわかる。空には薄い雲がいくつか浮かんでいた。


「俺と辻…、もしかしたら似てるかもな」

「え?」


突然ぼそっと呟いた杉本だ。
なにをいったのか聞き取れず、顔を見た。

すると、どこかやわらかい表情でこっちを見ている。


「おまえもフラれてたじゃん。雨の日」

「……」


そう。あれは雨の日だった。

"話があるから" と言うのでファミレスで待ち合わせをしていた。

もうすぐ付き合って2年目を向かえるという、そんな雨の日。

珍しく先に着いていた遼汰。あたしはいつもの遼汰と違うことに全く気付かず、お気楽にメニューを眺めていた。

なににするか決め顔を上げると、遼汰はまっすぐにあたしを見つめていて…——。


『どうしたの? 今日の遼汰なんか変だし』


メニューの角で、ふざけて頭をつつきながらそう言った。

いつもなら即反撃してくるはずなので、メニューで身を隠しながら反撃に備えた。

そこからチラリと覗き見た遼汰が笑ってなくて。

そして別れを切り出された。