私の掴んでいた腕を引っぱって気づいたら黒澤君の胸の中にいた。
え。待って。状況理解できないよ……
「お前さ、なんなの?」
私のことを両腕で強く抱きしめたかと思うと、いきなり突き放してからスッ!と息を吸ったかと思うと、
「お前一人だけが悩んでいると思ったら大間違いだ!!俺や遥だって俺らのことを忘れた和恋と、どう接していいか分かんねぇ!けどよっ、何も言わねぇで離れるのはやめろ!」
いつものような明るい表情で、バカにしたような目はもうそこにはなかった。
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