総支配人が、こちらに向かってきた。
な、何でこっちに来るのよ!?
ジッと黙って隠れていると総支配人が小山さんに

「若葉は……?」

「えっ?あれ?
今、さっきそこに居たんですがね?
お客様の対応に行ってしまったんじゃないですかね」
ここに居ることを知っているはずの
小山さんが庇ってくれた。

小山さん……。

「……そうか。なら戻ったら
総支配人室に来るように行ってくれ」

「承知しました」
小山さんは、最後まで何も言わなかった。
総支配人が行ってしまう。

ハァッ……助かった。
ホッと胸を撫で下ろすが後で
虚しさが残る。

「彼は、行ったよ。これで
本当に良かったのか?」

えっ?
小山さんを見るとニコッと頬笑む。

「今日は、クリスマスイブだよ。
こんな素敵なイベントに恋人と喧嘩なんて
勿体ないだろ?せっかくなんだし
仲直りしておいで」

クリスマスイブ……。