小山さん……相変わらず優しい。

あぁ前までは、小山さんのことを本気で
好きだったのにな。
優しくて、思いやりあって……仕事も
完璧だし。

そりゃあ、総支配人だって
クールだけど、情熱なところもあって
意外なギャップがあって……。
仕事も完璧で人柄も厚い。
ここのホテルの御曹司でもあるし

総支配人の顔が浮かぶ。

ハッ!!
ついつい、総支配人のことを考えてしまった。
しかもべた褒めだし……。
違う。私は、怒っているのに。
あの人は、クールじゃなくて冷たいのよ!!

ブンブンと首を振って忘れようとする。
怒っているのよ……私は。

「どうしたんだい?」

「何でもありません。あの人のことなんて」

「あの人……?」
不思議そうに首を傾げる小山さん。
おっと……いけない。
余計なことを言うところだったわ。

すると、総支配人と秘書の藤本さんが
外の用事を済ませてホテルに戻ってきた。
うっ……今は、会いにくい。

私は、慌ててカウンターに隠れる。
気づかれませんように……。
祈る気持ちでいると