「ちょっと待ってて。
あの、ちょっと代わってもらってもいいですか?」

奈々恵は、代わってもらうと外に
連れて行ってくれる。
ホテルの庭園にあるベンチに座る。

「はい、ハンカチ。
それで何があったのよ?」

「あのね……」
ハンカチを受け取り話そうとしたとき

「若葉!!」
総支配人の声がした。

えっ?
振り返ると息を切らしながら
こちらに向かってくる。

「総支配人!?」
ハッと思い慌てて立ち上がると
奈々恵の後ろに隠れた。
な、なんでこっちに来れたの!!?

いつもならフロントに来るまでに
迷子になってるのに……。

「若葉。誤解のないように話をしよう……」

その言い方にムカッとした。

「ひ、酷いじゃないですか!?
私が小山さんの事を好きだと知ってたくせに。
知ってて黙っていたんですか?
惨めな女だと思って……私を抱いたんですか?」
半分八つ当たりだろう。
総支配人に怒りをぶつける。

どんだけ人を馬鹿にしてるのよ!!