小山さんが結婚するのもショックだが
総支配人は、それを知っていたのもショックだった。
もし総支配人が
私が小山さんのことを好きだと知っていたのなら
何故教えてくれなかったの?もしかして
それで惨めに思って私を抱いたの?
だとしたら……酷い!!
どうしょうもない悲しみと怒りが込み上げてくる。
すると総支配人は、私に気づいた。
「若葉……!?」
「えっ?若葉……?」
小山さんまでこちらを振り返る。
私は、居ても立っても居られずに
食堂から飛び出した。
失恋したショックと知らなかった事実に
悲しくて涙が止まらない。
階段を一気におりて行く。すると
上の方から
「若葉!!」
総支配人が私の名前を呼んできた。
ビクッと反応するが構わずおりて行く。
向かった先は、フロントの受付カウンターに居る
奈々恵のところだった。
「えっ?どうしたの?若葉」
泣きながら息を切らして来た私に驚かれる。
「奈々恵……」
もう涙が止まらなかった。