そうしたら
「彼女も一緒に車に乗せて行く。
行くぞ?たか……じゃなかった。若葉」
えっ?今……若葉って!?
まさか名前を呼び捨てにされるなんて
思わなかった。
「は、はい。」
慌てて返事をする。
急に名前を呼ぶから心臓が飛び出しそうに
なるぐらい驚いてしまう。
嫌だ……ドキドキしてきた。
一緒に車に乗って仕事場まで向かう時も私は、
ずっと夢の中に居るようだった。
こんなことって実際にあるものなのね?
モテモテの御曹司である総支配人が
私のことを好きだといい。
酔った勢いとは言え関係を持つなんて。
まるで何かのドラマや漫画のようだ。
今でも信じられない。
いや、もう夢ならささっと覚めてほしい。
こんなところを小山さんに見られたら
間違いなく誤解をされてしまう。
うぅっ……どうしょう。
着くと私は、そそくさと逃げて
更衣室に行く。バレてませんように……。
ハァッ……と大きなため息を吐きながら着替える。
すると後ろから
「見てたわよ~」
ニヤニヤとしながら奈々恵が現れた。
ビクッ!!
驚いて振り返った。