するとムクッと立ち上がった総支配人は、
徐に同じく脱ぎ捨てた自分のシャツを拾い着る。
そして、そのままキッチンに向かって行ってしまった。
えっ……?
何も無かったかのように行動をされてしまい
私は、きょとんとしてしまう。
総支配人は、無言のままコーヒーを淹れ始める。
そして私に
「そんな格好のままにいたら風邪をひくぞ?
シャワーを浴びて来い。その間に
食事の用意をしておくから」と言ってきた。
あ、スルーされた訳じゃなかった!?
「は、はい。」
私は、慌てて返事をしてリビングから出て行く。
言われた通りにシャワーを浴びさせてもらうのだが
ずっと悩む。
これから、どうしたらいいのだろうか?
忘れてもらう……それしか無いのだけど
本当にそれでいいのだろうか?
フッと昨日の総支配人の言葉を思い出す。
『俺がどんな想いでいるのか……分からないくせに』
あれって……どう言う意味?
どんな想いでいるかなんて……総支配人は、
私のことをどう想っているの?
酔っていたから酒の勢いにしても
あんな風に人に言われたことが無かった。
強引なkiss……。
普段は、クールで落ち着いているのに
意外と情熱的な人だった。
思い出せば思い出すほど身体中が熱くなってくる。
心臓がドキドキと高鳴ってしまう。