「あ、いえ……大丈夫です。
それよりも……」

「もう少しペースを落として歩くべきだったな。
すまない……」
そう言い私を言い終わる前に肩を引き寄せてくる。

えぇっ!?
急に引き寄せられたので
心臓がドキドキと高鳴ってしまう。
どうして、私に気にかけてくれるのか分からない。

同じペースに合わせてくれた。

歩くこと15分。

黙って歩いて行く内に酔いが覚めてきた。
そしてやっぱりおかしいと再度思うようになる。

一向に車に乗る気配もない。
むしろ冷静だった総支配人がキョロキョロし始めていた。

ま、まさか……!?

「あの……どちらに向かう予定だったんですか?」
私は、恐る恐る尋ねてみた。

すると総支配人は、徐に口を開いた。
「何処って……駅だが?」

やっぱり!!?
悪い予感通りのことが起きた。