そこには音もなく流れる小川があった。

田んぼに水を引くものだろうか。


静かな薄暗い闇に、黄緑の光が浮かんだ。

線を結ぶようにあとを引く光はついては消え消えたらつき、と一定のリズムを刻んでいた。


これは……


「ホタルだ」


「えっ?」


僕の声に重なるように、女の子の高い声が聞こえた。



目をこらして更に先を見ると、川縁に座る二つ結びの少女がいた。




「……ゆうと…」



少女は確かに、僕の名前を呼んだ。